● 害虫被害 ●



人はいろいろな場面で、経済的にあるいは生活の質において、害虫による潜在的な脅威に晒されています。農業では収穫物への被害として、住宅地では所有財産や人の健康への侵害として、害虫は時にして大きな被害をもたらします。
 


シロアリ、オオアリなどの木材害虫は、家屋などの所有財産に非常に大きな損害をもたらします。現在、シロアリでは、40種類以上が家屋を加害することが確認されています。国際ペストマネージメント協会(National Pest Management Association International)の調査では、世界におけるシロアリの損害は、毎年US $20 億ドルに達すると推定しています。
シロアリの被害は徐々に見えないところで進行するため、明らかな被害となって現れるには通常3年から8年かかります。地下棲息性のシロアリの中には、建物を全壊できるほど強力な破壊力を持つ種類も存在しています。


 


害虫による作物収穫量の減収に関する研究については、1994年OERKE* をリーダーとするチームが詳細な検討を行っています。その結果によると、害虫被害は世界的な潜在生産量に対し最大では15%の減収を引き起こすと推測しています。ムギやジャガイモはそれぞれUS $104億ドル、米ではUS $454億ドルもの損失があると推定しています。これらの作物は、特に害虫発生に好適な気候帯に属するアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの発展途上国では主食となる作物で、害虫被害を抑えることは安定した食糧生産の上で非常に重要となっています。


 


害虫は、短期、長期にわたって、また、直接的、間接的に、非常に多くの人々の健康や快適な暮らしに悪影響を及ぼします。食糧を不衛生に汚染するだけではなく、昆虫の中には伝染病を感染させるものもいます。ヒトに対しては、15種類の害虫が病原生物を媒介することが知られています。また、直接的に痛みや不快症状の原因となったり、衰弱性疾患を発症させる原因となる場合もあります。以下にその事例の一部を紹介します。

マラリアの感染は、90カ国以上で公衆衛生上の問題となっている。毎年5億件の臨床例が報告されており、毎年100万人以上の死亡の原因となっていると推測されている。これを別の数字に換算すると、世界のどこかで子供が30秒に1人の割合で死亡し、毎年世界人口のほぼ10%がマラリアを患っていることを意味する。
住環境に棲むゴキブリの仲間は、赤痢をはじめ、食中毒や下痢などさまざまな消化器系の病気を媒介する。最近では、小児喘息やアレルギーの発症に関係があることが判明してきた。
ノミや蚊などの害虫は、時として伝染病の破壊的な媒介を引き起こすことがある。インドで先ごろ発生した腺ペストに、その脅威が再確認された。

 


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